[ 未来をつくる人材を社会へ ]
時代の変化を見据えながら、教育・研究環境を常に進化させてきた大阪工業大学。
次なる挑戦は、成長が期待される宇宙産業分野での人材育成だ。
2028年開設予定の「宇宙ものづくりセンター(仮称)」を核として、技術者の育成と研究開発の強化を目指す。
宇宙産業の次代を担う 人材育成が急務
内閣府が公表する宇宙基本計画によると、宇宙産業は2030年代の早期に、現在の約4兆円から約8兆円へと市場拡大することが目標となっている。そのために最も必要とされているのが次世代を担う人材の育成だ。工学部長の上辻靖智教授はこう語る。「宇宙では真空や強い宇宙放射線といった特殊な環境下で機械が使われるうえ、大量生産ではない一点ものが多い。品質管理の考え方も異なります」。こうしたものづくりに対応できる人材を育てるため、大阪工業大学は28年に「宇宙ものづくりセンター(仮称)」を開設することを決めた。
場所は大宮キャンパス内で、クリーンルームを設置し、宇宙機械の組み立てを可能に。今後はロケット打ち上げ時の振動試験機や、宇宙環境を模擬した真空チャンバーを導入し、小型の人工衛星・惑星探査機やその推進システム、惑星軟着陸技術、宇宙機用複合材料の自己検査・修復技術などの研究を進める。これに先駆け、27年には工学部機械工学科にロケット関連の研究室が誕生予定だ。「ロケット開発は大手企業が手がけていますが、我々は高等教育機関として、基礎研究に特化して貢献したいと考えています」
すでに始まっている 挑戦が今後さらに本格化
「宇宙ものづくりセンター(仮称)」は、ゼロからの構想ではない。大阪工業大学では2022年頃から宇宙関連の学生プロジェクト(課外活動)を進めてきた。例えば「缶サット」。飲料缶などに収まる超小型の模擬人工衛星で、小型ロケットで上空に放出し、パラシュートで降下させながら周辺データを観測する。また、超小型衛星の放出機構を備えた宇宙ステーションを活用し、学生が開発した衛星を宇宙へ送り出すことを構想している。衛星の設計・製作から宇宙空間での観測や技術実証まで、学生プロジェクトとして取り組む考えだ。
さらに、月面探査や基地作りの基礎技術を競う「鳥取ローバーチャレンジ2026」では、他大学との共同チームがエントリー部門で優勝という実績も。「宇宙ものづくりセンター(仮称)」は、こうした学生プロジェクトの拠点にもなっていく。今後は学科横断による活用を目指し、別棟の建設も視野に入れる。「本学の強みはものづくり。理論研究にとどまらず、実際につくり上げることで本領発揮していきたい」と上辻教授。大阪工業大学の挑戦は続く。宇宙産業において、日本が世界を牽引する未来を目指して。
2026年9月4日付・日本経済新聞大阪本社版より転載
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