大阪工業大学|情報科学部|ネットワークデザイン学科|西口研究室


大学時代の目標

大学に進学した理由は人それぞれ異なると思いますが、大学は、高等教育機関として、中等教育(高等学校)で学んだ知識を専門化してさらに掘り下げて学び、自分自身の能力を高めるだけでなく、それを社会に還元できる人材の育成を目標としています。

本学部では、「情報科学」という専門分野における人材育成を目標としたカリキュラムが組まれており、以下を目指しています。

  • 情報分野におけるエキスパートの育成
  • コミュニケーション能力の向上

情報分野におけるエキスパートになる!

このような目標は、大学に進学しただけでは達成できないことに注意しましょう。大学ではもちろん、各学生の能力を高めるために、専門知識を講義し、演習を実施し、レポート及び試験を課すという方法をとっていますが、これに対し、受け身の姿勢で取り組むだけでは本物の能力を身につけることは困難です。

つまり、大学は能力を十分身につけることができる環境を提供しており、各学生は自ら学ぶ姿勢が最重要となります。従って、以下のような姿勢は、自ら能力の向上のチャンスを放棄しているといわざるを得ません。

  • 授業に出るのが面倒なので休む。
  • 試験勉強はつまらないからしない。
  • レポート大変。適当にまとめて提出する。
  • 週の大半の時間をバイトに費やしている。
  • ゲームだけしている。

大学生活の(学部)4年間は、小学校の6年間に次いで、在籍期間が長いと考えがちですが、就職活動は入学してから3年後にあり、進学する場合も大学院への進学は4年生への進級時に考える必要があります。長いようで短い時間を有意義に過ごすため、情報分野における様々な科目を、意欲を持って履修し、個人能力を向上していくことをお勧めします。

コミュニケーション能力をみがく!

コミュニケーションとは、人間と人間の間で情報を交換し互いをよく知ることです。その能力を高めるには、実際にコミュニケーションを試みることが最も重要です。そのためには、以下のような活動がお勧めです。

  • サークル・部活動に参加する。
  • ボランティアやNPOに参加する。
  • 海外留学(夏季など)をする。
  • 専門知識が必要なアルバイトをする(塾講師、家庭教師、プログラミングのアルバイトなど)。

通学時間が長くて授業が終わったらすぐに帰らないといけない人は、地元でどのようなボランティアを募集しているか、土日の活動はないかなどを探すのも一つの手でしょう。3年生のゼミ活動や、卒研配属でもグループでの活動を行いますが、1、2年生の間は、上記のような活動をするよう、心がけましょう。

勉学について

Q. 一年間の単位取得目標は?(2024年4月現在) A. 年間最低42単位を目標に頑張りましょう。

本学部では、合計124単位を取得すれば学士の学位を得て卒業することができます。ここでよくあるのが、4年間で124単位を取得すればよい、という勘違いです。この考えに基づいて一年間の単位取得目標をすなおに計算すると、124/4 = 31となり、一年間に31単位取得すればいいや、と考えがちです。

しかしながら、実はこの計算は間違いです。この考えでいくと、4年生の前期、後期にも授業に出席し、単位を取得する必要があるからです。これは、4年生の卒業がかかった時期に、就活、授業、卒研の3つを同時に達成しなければならないことを意味し、精神的、身体的な負担はかなり大きいと言わざるを得ません。

では、1〜3年生の間に必修の科目を含めて124単位取得すると考えてみましょう。つまり、1〜3年生の間に卒業研究以外の単位(必修科目含む)を取得しておくことによって、4年生になった時点で、就活と卒業研究にパワーを集中させることができるということになります。就活は、4年生の早い段階で終了することが多いので、結局、4年生の間は、授業の単位を気にすることなく、大学における学修の集大成である卒業研究に集中可能となり、十分時間をかけた納得のいく結果を残すことが可能となるわけです。

以上のことから、一年間に取得が必要な単位の概算は、124/3 = 41.3、つまり、一年間の単位取得目標は、必修を含めて最低42単位であり、これが実現できれば、バラ色の4年生生活を送れる可能性が高まります。このような単位履修計画は決して無謀なものではありません。現に、当研究室でも、4年生配属時に残りは卒業研究だけ、という学生は何人も存在します。学部を卒業して就職を目指す人は就活及び卒研をより充実したものにするため、また大学院へ進学した後に就職を目指す人は大学院修士課程における研究をより充実したものにするため、以上のような年間単位取得数を目標に頑張ってください。

もし、4年生になった段階で124単位に届かなかった場合でも、4年生の前期で卒業研究以外の単位を取得できるという状況であれば、後期は卒業研究のみ、という状況にできますから、できるだけ年間42単位以上を目標として頑張りましょう。

Q. プログラミングが苦手です。どうすればいいですか?A. とにかく、プログラミング演習にじっくり取り組みましょう。

プログラミングは、計算機(PC)に指示を与えるための作業です。一般の人はワードやエクセルなどのアプリケーションを通して計算機 に指示を与えますが、皆さんは情報科学部に進学したわけですから、ワードやエクセルのようなアプリケーションを作成できるだけの知識と技術が(世の中から)求められます。

プログラミングでは「プログラミング言語」という言葉を用いて指示を与えます。これは、人間同士のコミュニケーションで用いる日本語や英語と同じで、計算機とコミュニケーションを行うために用いる言葉です。人間同士のコミュニケーションであれば、すべてを細かく話さなくても、あうんの呼吸であいまいな言葉を用いても相手とコミュニケーションをとることができますが、計算機が相手の場合には、あらゆる作業を厳密、正確に伝えてあげなくてはいけません。さらには、プログラミング言語の種類も、C言語、Java、C++言語、Python, C#, PHP、Perl、Rubyなど多種多様なため、いったいなにから手をつけていいか混乱するかもしれません。このようなある意味「面倒臭さ」が、プログラミングが苦手であるという意識を持つ原因の一つであるのではないかと考えられます。

実は、あらゆるプログラミング言語は大抵似たようなことが表現できます。例えば、日本語では「こんにちは」、英語では「Hello!」で昼間の挨拶ができます。同じように、C言語でも、Java言語でも、同じようなことをそれぞれの言語で表現できます。C言語は古くからある最も基本的なプログラミング言語で、Java言語は「オブジェクト指向」と呼ばれる、より直感的な書き方ができるように改良された言語です。この二つの言語についてよく理解できれば、C++言語などの他の言語についても比較的簡単に習得できるはずです。どのようなプログラミング言語でも持っている(あるいは持っていなければならない)表現方法については、1年次の後期のプログラミング基礎で学ぶことができます。

また、自分なりの目標を立てるのもよいかもしれません。市販されているような綺麗なグラフィクス表示を行うゲームはまだ作れないとしても、プログラミング演習で学んだ技術に基づいて、簡単なゲームであれば、プログラミング可能です。

いずれにせよ、大学で学んでほしいのは、ある特定のプログラミング言語でプログラムが作成できる能力ではなく、どのようなプログラミング言語を使う必要が出てきたときにでも柔軟に対応可能な能力です。C言語やJava言語はその一例に過ぎないことに注意してください。

就職について

3年生の秋までに資格を取りましょう。

就職活動は、3年生の12月ごろから徐々に始まり、2月、3月にピークを迎えます。この時期に、履歴書の資格欄に書くことができる資格は、3年生の秋、10月ごろに得た資格のみとなります。つまり、就職活動でアピールするための資格は4年生での取得では遅い!ということになります。3年生で取得するには、大学に入学して2年半で得た知識や技術に基づいて資格を獲得する必要があるので、1年生の入学時点から計画的に資格を得ておきましょう。情報系の主な資格は以下の通りです。呼称や制度が変更になることもあるので、各自調べておきましょう。またこれら以外でも、自分が興味をもっている資格にチャレンジすることも、向上心をアピールする上で有効でしょう。

  • 基本情報処理技術者
  • ソフトウェア開発技術者
  • テクニカルエンジニア
  • 初級システムアドミニストレータ
  • オラクルマスター(シルバー)
  • Cisco CCNA
  • CG検定
  • TOEIC

情報関連企業への就職希望者

情報科学部に入学した人の大半は、IT関連企業への就職を目指すことになると思います。上で何度も書いているように、学部卒で就職する人は、3年生の12月ごろから就職活動が始まります。この段階では、各企業の情報収集から始めることになると思いますが、2月には履歴書を完成させ、早い人では3月中に面接を受ける人も出てきます。さてここで、採用活動をしている企業の採用担当の面接官の立場を考えてみましょう。目の前にいる学生について、他の学生ではなく、わざわざこの学生を採用するメリットは何だろう、と考えるに違いありません。そこで皆さんは、他の学生よりも自分を採用するほうがこの会社にとっていかに有益かをアピールする必要があるのです。

大きく分けて3つの観点からアピールするのがよいでしょう。

  • 個人の能力が既に高い
  • グループ活動ができる
  • 今後も伸びる可能性がある

個人の能力が既に高いことをアピールする際、情報科学部の学生は、プログラミング演習の単位を取得したことをもってプログラミング能力があるというアピールはできません! なぜなら、企業にとって、情報科学部の学生がプログラミングができるのはあたりまえに思えてしまうからです。従って、この能力を客観的に示す必要があります。例えば、以下のようなアピールが挙げられます。ちなみに、学業優先の観点から、アルバイトはアピールし難いことに気をつけましょう。

  • 資格を持っている。
  • 卒業に必要な単位は既に良い成績で揃っている。
  • 学外あるいは学内のプログラミングコンテストで入賞した。
  • 地域ボランティアに参加した。
  • etc

グループでの活動ができることをアピールするには、実際にグループで活動した実績を持ち、主導的な立場をまかせられていれば、なおよいでしょう。

  • 地域ボランティアでリーダーとして行動した。
  • サークル活動で協力しあって○○に入賞した。
  • ゼミ活動で○○を成功させた。
  • etc

今後も伸びる可能性があることもアピールできるとよいでしょう。社会に出ると必ずいつか壁に当たることがあります。そのような状況でもなんとか乗り越える努力ができるという潜在能力を持っているということがアピールできればよいことになります。それには、これまでに取り組んできて壁にぶち当たったときに乗り越えたエピソードを交えてアピールできるとよいでしょう。

  • 地域ボランティアでバラバラだった人たちを○○という工夫で一つにまとめた。
  • 成績向上のために××という努力を継続的に行った。
  • 年に数回TOEICを受験し、少しずつ成績が向上している。
  • etc

またよく、大学で精力的に取り組んだことはなんですか?と聞かれて困ってしまい、答えられない学生が多々見受けられます。高校までは部活に入ってたんだけどなぁとか、小さいころに習字を習ってたんだけどなぁという人が多いです。このような受け答えだと、企業の採用者は「大学ではなにもしてこなかったの?」と考えてしまうでしょう。

したがって、3年生の後半の1月、2月の段階で上記のようなことがアピールできるように、入学時点で十分な計画や目標を立てておくことが皆さんにとって最重要課題であるといえます。そのためにも、毎日適度な運動や勉強を欠かさず、健康的な生活を送ることが必須であることも心掛けておきましょう。

ゲーム関連業種への就職希望者は特に1年次からの周到な準備が必要です。

以下、私見ですが、単に、「ゲームをプレイすることが好き」「ゲームの攻略が得意」なだけではゲーム関連企業は採用してくれません。ゲームを作るということは、それなりの知識、技術が要求されます。また、募集人数も少ないため、単に大学でプログラミングを学ぶ以上の努力が必要になります。一般に、就活を始めるには、以下のような知識と技術が必要となるでしょう。

  • 物理(力学、電磁気学など、自然現象をプログラムで表現する必要があります。)
  • 数学(三次元空間、ベクトル、行列、線形代数、確率、微積分など、プログラミングに必須の知識です。)
  • 英語(最新のゲーム関連技術は英語で発表されます。)
  • 国語(チームで開発するので、企画書作成、議論などで日本語が正しく書け、また話せる必要があります。)
  • AI(人工知能はコンピュータと対戦するには必須の技術です。)
  • 3DCG(OpenGL, DirectXなど、実際のプログラミングに必要な技術です。)
  • センス(売れるゲームを作るには、開発者としてのセンスが大前提です。)
  • その他多数。

以上のような知識や技術を、他の応募者から抜き出て十分に身につけるには、就活の開始時期(3年生修了時)では、確実に遅すぎます。例えば、アクションゲームを作成するために必要な知識の例として、平山 尚 著,「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」,秀和システム, 2008年発行.という分厚い(872ページ!)書籍があります。この書籍の内容がすべてではないとは思いますが、実際の現場では最低限この書籍に書かれている知識や技術は必要になるであろうということで、興味がある人は一度ページをめくってみてください。

また、ゲームの開発現場では,新しいゲームの納品期日の直前は、ほぼ毎日徹夜でデバッグ作業をし、それが終わると1ヶ月程度の有給休暇を取るそうです。またその休暇の間も新しい技術の習得に時間をかけるため、休む暇はほとんどない様子。まさに体力勝負。単にゲームをプレイするのが好きなだけでは務まらない職種であるといえます。

以上のことから、ゲーム関連企業に就活を始めるには、入学当初から目的意識をもって、大学で学ぶ内容をベースとして、知識と技術を自らみがき、就活を始めるまでに、いくつかの作品を公表して、なんらかの形で評価をもらっておくことが重要であるといえます。評価とは、例えば、フリーソフト、シェアウェアとしての一般的なサイトにおけるダウンロード数、あるいは、ゲーム関連企業のコンテストへの応募や入賞などが挙げられます。

なお、ゲーム業種に対する就活は、それ以外の業種に対する就活に比べてもともと募集人数は少ないため、以上のような準備をしていても必ず就職できるとは限りません。しかしながら、その準備過程で得られる知識や技術は、他の業種に就職したとしても、今後の人生において必ず役立ちますから、いろいろな可能性を考えて就職活動をしましょう。

大学院への進学について

学部を卒業したのちに、さらに深い知識や技術を身につけ、情報関連の専門家としてシニアエンジニアの立場に立とうとする人は、大学院への進学を勧めます。大学院では、学部で学んだ知識をより発展させ、学内インターンなどを通してさらに広い知識と教養を身につけていき、最後に修士論文や博士論文という形で研究をまとめて、修士や博士という学位を得ることになります。

ちなみに、大学院に進学すると学部卒業で就職するよりも就職する時期が2年ほど遅れるため、収入が減るのではないかと考える人もいるかもしれませんが、大学院を出て就職すると昇進や給与ベースで高い水準で移行することが多いため、生涯賃金としては学部卒よりも多いというデータもあります(もちろん就職先の規模や業種、職種にもよると思います。自分で調べてみてください)。

これからは大抵の人が大学に進学する時代に入りますから、より高い能力を身につけたいと考えている人、あるいは自ら専門的な知識を身につけるための基礎を磨きたいと考える人は、大学院への進学を考えるのもよいのではないかと思います。


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Last-modified: 2024-03-27 (水) 14:17:22