暮らしに深く関わる「水」への興味が
研究や将来の目標につながった

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高校時代に交換留学で中国に行った際に、ホテルでさえ水道の水が飲めないことに驚くと共に、日本の水道技術の優秀さに気づかされました。そのようなこともあり、大学では人の生活に密接に結びついている水環境について学びたいと考え、環境工学科を志望しました。

水代謝システム研究室を選んだのは、社会に出て働く前に、上水システムの知識を身に付けたいと考えたからです。研究室では、浄水施設で使われている凝集剤に着目した研究に取り組んでいます。「凝集」とは分子が静電気的に引き合う力を利用して、分子を集めて大きくすることを指します。水に応用すれば、汚れの成分を大きくして、沈澱や濾過により除去しやくすることが可能です。現在のところ、国内の多くの浄水施設では汚れを凝集させるために「PAC(ポリ塩化アルミニウム)」と呼ばれる凝集剤が使われていますが、近年頻発するゲリラ豪雨や水源環境の悪化に対応するため、より強力な新しい凝集剤「超高塩基度PAC」が開発されました。ただ、この新しい凝集剤は今なお、従来のPAC運用方法に基づいて使用されているのが現状です。そこで研究班では、明確な運用方法につながるPACと超高塩基度PACの定量的な差について研究しています。

インターンシップで水環境に関するプラントメーカーや、様々なデータをプラントの設計に生かすコンサルタント企業での仕事を経験したうえで、卒業後の進路を考える際は、浄水施設を実際につくる企業を希望しました。内定先企業は、浄水場のプラント設計や立ち上げ、機器の製造、さらに試運転や運営管理まで関われる数少ない企業です。国際PBLや様々な実習を通して得た知識やコミュニケーション能力を生かして、社内外で積極的な動きができる技術者になることが目標です。