学科紹介:環境工学科 教員LETTER

海外水ビジネスのお手伝いをしています

環境工学科 准教授 古崎 康哲 Yasunori KOSAKI

 世界的に水問題が注目される中、日本の水処理技術を世界に売り出そうという動きが活発です。
 水処理分野における日本企業の海外への展開は、かつてのODA(政府開発援助)から、官民共同でのでの展開が始まりつつあります。
 例えば「海外水インフラPPP協議会」、「海外水循環システム協議会」といった官民共同での展開です。例えば大阪でしたら、大阪市と日揮によるベトナム国ホーチミン市での上水道分野での技術協力などがあります。
 背景には、日本での水関係の公共事業の減少が挙げられます。また、ヴェオリアなど外国資本の日本への参入による刺激などもあります。水処理企業の再編も進んでいます。2008年には日本ガイシと富士電機の水処理部門が合併して、「メタウォーター」という会社ができ、技術力と資本力を背景に現在国内外で受注を伸ばしています。また、2011年には三菱商事、日揮、荏原製作所の提携による「水ing(スイング)」もできました。また、西原環境もヴェオリアグループを後ろ盾に勢いを出しつつあります。このように規模の大きな水処理会社が、その資本を武器に海外展開を積極的に進めています。
 一方で日本の中小の水処理企業も動き出しています。リーマンショック後に日本の工場の海外移転が加速し、工場の排水処理の仕事も減ってきています。そこで、海外への展開を積極的に考える中小企業が増えてきました。関西の環境関連企業で構成される「Team e-Kansai」では、メンバー企業がタッグを組んで環境ビジネスを展開しています。また、その中には水処理を得意とするグループとして「水分科会」があります。本学の石川、皆川と私は、昨年度からその技術アドバイザーとして協力しています。
 「水分科会」のメンバー企業の多くは従業員100人以下の中小企業です。メンバーは現在130社です。本学のメンバーはそれら企業の技術を調査・分類してわかりやすく説明する仕事をしています。調査をしていて思ったのは、大企業にも劣らない技術や、オンリーワンの技術を持った企業が多いということでした。また、海外展開している中小企業も多いことがわかりました。その中で成功している企業を見ていると、どこも社長自ら海外へおもむいて人脈作りから商談を行っていることです。関西にはすごい社長さんがたくさんいるのだと改めて感じています。(「水分科会」はホームページがありますので、よろしければ見て下さい(http://www.kansai.meti.go.jp/team_e_kansai/mizubunkakai.html))。私も現地調査や商談会に同行して今年2月にベトナム、5月にタイに行き、11月にまたベトナムへ行く予定です。大学は研究だけをするところではなく、特に実学を重視するような本学は、関西の環境関連企業に少しでも役に立つことをするもの大事なことだと思っています。また、近畿経済産業局と大阪商工会議所が事務局をつとめていますが、従来のお役所のイメージとは違って、海外商談会の手配から企業同士の交流の場を提供したりして活躍されておられます。
 他にも石川と中国の湖沼浄化にも取り組んでおり、6月には中国の寧波に行ってきました。こうして動いていると、これから本学の卒業生も海外に行く機会が多くなるだろうなとつくづく感じます。やはりフィールドはアジアになります。環境を目指す皆さんは、大学に入ったら、在学中にぜひアジアの国を見に行ってほしいと思います。
※写真は3枚とも、2月のベトナムビジネスミッションのものです。

ベトナム企業と日本企業との意見交換会

ベトナム企業と日本企業との意見交換会

排水処理施設見学

排水処理施設見学

ホーチミン廟の前で

ホーチミン廟の前で


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