学科紹介:環境工学科 教員LETTER

電磁気学を利用して緑藻類の量産化に挑戦!

環境工学科 教授 長田 昭義 Akiyoshi NAGATA

IoT化が進み科学技術の発展に伴い、化石燃料を含む天然資源のエネルギー消費が増大する中、安定な低炭素かつ自律エネルギーとしてバイオ燃料の需要が高まっている。実用化には培養時間の短縮・量産化、コストダウンが解決課題となっている。その方策として、電磁気学の利用を発想し挑戦している。
電荷を帯びた粒子すなわち荷電粒子(負電荷をもつ緑藻類)には、ローレンツ力Fが作用する。電磁力Fは電界Eによる力qEと磁界Bによる力q (v × B )のベクトル和として、F =m(dv /dt )=qE + q (v ×B )で表される。この電磁界を緑藻類(クロレラ、ボトリオコッカス)に照射し刺激(ストレス)として作用させて量産化につなげる培養法である。
これまでの電磁界照射培養(図1)では、量産化の有効手段となる確証までは至っていないが、緑藻類の生産性と良い相関を示す結果は得られている。電界照射(図2上)では、培養12日以降から生産割合に顕著な照射効果が観測されている。磁界照射(図2下)では、培養22日以降から電界照射より生産割合が大きくなることが見出されている。これらの特性評価は、すべての照射培養で得られた結果ではないので、物理モデルとの因果関係と併せて照射条件の検証実験を重ねる必要がある。
 電磁界照射培養は生物学・農学的研究とは異なり電磁気学的観点から、物理パラメータ(RC =ρ ε )を基に緑藻類の内部情報を抽出して量産化につなげる実験研究で、実用化に向けて貢献できるように学生たちと楽しく実験研究に勤しんでいる。(記:2018年11月)

図1 ボトリオコッカスの電磁界照射培養(左:磁界照射、右:電界照射)

図1 ボトリオコッカスの電磁界照射培養(左:磁界照射、右:電界照射)

図2 電界・磁界照射によるボトリオコッカスの生産割合の経時変化

図2 電界・磁界照射によるボトリオコッカスの生産割合の経時変化


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