安心安全な医薬品を届けて
人々の健康を守る
生命工学は、医療と工学が融合した分野であり、科学の力で人々の健康を支えることができる学問です。まさに自分自身が求めている学びであると思い、進学を決めました。
入学後は、座学に加えて多くの実験を通じて学びを深めてきました。特にグループで吸光度計の開発に挑戦した「生命工学PBL」では大きく成長できたと感じています。吸光度計は光の強度を測定する装置であり、授業ではその設計から作製までをパソコンを用いて実施しました。チームでの協力が欠かせない課題であり、意見を出し合いながら最適な方法を模索。互いに役割を分担しながら進めることでチームワークの大切さを学ぶとともに、課題解決力を養うことができました。
卒業研究では、「糖尿病による神経障害性疼痛を抑制するノシスタチンの受容体の同定実験」に取り組みました。糖尿病は血糖値の上昇だけでなく、神経のダメージによる疼痛を引き起こします。しかし、既存の治療薬には副作用が多く、長期間の使用が難しいという課題があります。そこで、ノシスタチンという物質に着目。その受容体を特定することで疼痛抑制の可能性を探る研究を行いました。実験では、細胞を扱いながらデータを蓄積していくのですが、細胞のコンタミネーション(汚染)を防ぐ必要があり、慎重な管理が求められます。私も一度、コンタミネーションを起こしてしまい、実験が進まなくなったことがありました。その経験から、細かい作業を丁寧に行うことの大切さを実感。毎日の管理には忍耐力が必要でしたが、そのおかげで有力な結果を得ることができました。
卒業後は、製薬関連の企業で生産技術職として働く予定です。研究室で開発された薬を多くの人に届けるためには、大規模生産に適した製造方法を確立することが必要です。スケールアップ技術を研究し、より安全で高品質な医薬品を提供できるよう努めていきます。
