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永峰 頌子さん
OB・OG VOICE
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永峰 頌子さん
2012年 工学部 建築学科 卒業
2014年 工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 修了
※現 建築・都市デザイン工学専攻

大和ハウス工業株式会社 総合技術研究所
建築技術研究部 建築構工法グループ

意匠設計職を志していた私が
自分の道を見つけ構造分野へ
技術者として成長を続ける

1年生から「建築」ひとすじに学べる環境

父が土木建設関係の仕事をしており、小学生のときから広告チラシなどで住宅の間取りを見るのが好きでした。建築のことを本格的に学ぶには、地元・香川県には条件に合う大学がなく、実家からの距離を考えても大阪工業大学は最適でした。また、特待生として入学できたことは大きなメリットでした。他の大学や国公立大学などの工学系学部で「建築」を学ぶ場合、1~2年生では工学の基礎的な知識を学び、3年生でようやく選択によって専門分野に移行することが多いようです。その点、大阪工業大学は入学時から「建築学科」に所属し、1年生から専門的に学ぶことができます。学びたいことに専念でき、その想いがぶれることがない環境で学べたことは、とても良かったと思います。

手書きの製図を重ねて見えてきた方向性

入学時に設計製図は未経験で、周りには工業高校出身で製図に慣れている人たちがいました。焦りを感じましたが、努力をし続けることに楽しさやワクワクを感じながら基礎からしっかりと学びました。レベル別の教室があり、学びへのフォローがとても手厚かったことが印象的で、経験のある学生との差もみるみる縮んでいきました。大阪工業大学は手書きでの作図を重視しています。1~2年生では毎週、課題でA1用紙1枚に手書きした製図を提出しなければなりません。大変でしたが、建築士の製図試験は手書きなので、基礎をしっかり学んでおくことは重要です。こうした経験から卒業後1年目で二級建築士資格を取得できました。また、製図の授業を通して自分は意匠系よりも構造系のほうが向いていると感じ、その後の学びの方向性も見えました。

現在の仕事に直結する、柱梁接合部分を研究

大学院への進学ははっきりと決心しておらず、学部卒で公務員を目指すことも考えていました。しかし、内部推薦をいただくことになり、学費が全額免除になったことや、学部時代からの研究を続けたいとの想いもあり進学を決意しました。RCS構造(柱が鉄筋コンクリート造で梁は鉄骨造の混合構造)柱梁接合部分の設計式の確立を研究テーマに、建物の最上階に用いられる梁貫通形式L字型およびT字型柱梁接合部の応力伝達機構と抵抗機構について、実験・検証を行いました。試験体製作や実験実施の経験は、現在の業務で活きています。また、院生時代には国内各地やシンガポールの学会で発表を行い、その経験は今でも大きな自信につながっています。
大阪工業大学の八幡工学実験場は、大和ハウス工業からの委託研究や共同研究を行っており、学生時代から慣れ親しんだ施設で現在も実験を行うことができています。

要素技術の開発で、街の風景を作り続ける

現在は大和ハウス工業の総合技術研究所に所属し、店舗・事務所・倉庫などを対象とした、鉄骨構造物の要素技術研究と開発を担当しています。入社後、初めて開発に関わったのは、複雑な加工が必要な柱梁接合部分を、厚版の四面BOXで構成した要素技術で、昨年、この技術が用いられた建物が完成しました。
大阪工業大学に入学したとき、私自身は意匠設計に向いていると思っていましたが、学びを通して、自分の得意や興味が構造分野にあることに気付きました。建築物は、様々な分野の技術者の連携によって建てられ、街の風景になっていきます。これからも成長を続け、より製作効率が高く、環境に優しい技術開発を続けていきたいと思います。

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