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知財実務家育成のための取り組み

知的財産学科 
教授 五丁 龍志

五丁 龍志
2023.05.30
  • 活動の様子

    活動の様子

組織における知的財産担当者の役割の一つとして、技術者の成果から発明を掘り出し、特許権を取得できる発明に作り上げるために必要なデータや実験を依頼し、発明提案書の作成を支援したり、特許出願書類の作成を支援する「リエゾン活動」と呼ばれる活動があります。

知的財産学部出身の学生は、過去の事例を見ると企業の知的財産部門に就職する学生の他、営業部門などに就職する学生も多いのですが、他部門での経験を積んだ後に知的財産部門に異動となって活躍する学生が多くいます。したがって、学生時代に知的財産実務を体験し、考え方や進め方を体感することがその時に役立つ経験となります。

このような現状を踏まえ、2020年より、当研究室では、ゼミ活動において知財実務家育成プログラムを試行しています。

大阪工業大学には、工学部、ロボティクス&デザイン学部、情報科学部と理科系学部が存在し、そこでは日々多くの研究が進められています。これらの学部の研究室とタイアップし、発明発掘活動、大学としての特許出願検討のための発明提案書作成の支援、大学としての特許出願のための書類作成を、当研究室の学生が担い、場合によっては発明支援を行い、自らも発明者となって特許出願をするケースも出てきています。

本格的な技術には接する機会が少ない、当学部の学生は最初は戸惑うことが多いです。しかし、理科系教員や理系学生との対話の中で技術への理解を深めつつ、発明を抽出し、自ら文献・特許調査を行い、特許性(≒特許庁の審査をパスして特許にするための規制)を充たすように発明を捉え直して、本学の産学連携部門(≒特許出願などの業務を管轄する法人の組織)と連携の上で特許出願の検討を行い、特許出願することを決定しました案件については出願書類を作成して、特許出願を実際に行うという実践的な取り組みを試行錯誤しながら進めています。学生の経験不足から、出願準備・検討案件は15件以上、行列状態となっていますが、なんとか少しずつ前進しながら活動しています。

かかる実践的な経験を積んだ学生が社会に出た際に、組織の知的財産部門で学生時代の経験を活かして一流の知的財産担当者として活躍する日を楽しみにしています。