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倫理学教育とカントを中心としたドイツ近代哲学研究

総合人間学系教室 
准教授 内田 浩明

内田 浩明
2018.07.31
 教育面では、「倫理学」(ソクラテスから始まる「倫理学史」や安楽死や脳死・臓器移植、人工妊娠中絶などの「生命倫理学」)に「技術者倫理」と「工学倫理」(エンジニアが起したさまざまな事故・事件の倫理的問題点とその解決を考える事例考察など)を教えています。「倫理学」の講義では大学生として身につけておかなければならない内容について、「技術者倫理」と「工学倫理」では一般人としてではなく、エンジニアとして社会に出る前に修得すべき事柄について講義しています。
 研究面では、ドイツ哲学、なかでもイマヌエル・カント(1724-1804)の思想を中心に究明しています。カントの著作は数多くありますが、主著の『純粋理性批判』は、何よりもまず理解しなければならないものです。しかし、それだけはカントの思想の全体像は当然浮かび上がってきません。
 そこで、ここ数年はカントが最晩年に書き残した『オプス・ポストゥムム』(ラテン語で「最後の作品」という意味)と言われる草稿と『純粋理性批判』やカントの他の諸著作との関係を解明するための研究を行っています。『オプス・ポストゥムム』は、草稿であるため、取り扱いが非常に難しく、現在日本で本格的に研究している人は数名しかいません。しかも、『オプス・ポストゥムム』が書かれた時期には、カントから影響を受けたラインホルト、フィヒテ、シェリング等の次世代を担う哲学者が登場し、彼ら以外の人名や書名も『オプス・ポストゥムム』には散見されます。このため、現在の研究範囲はさらに広がり、当時の思想状況を加味しながら他の哲学者たちとの相互影響に重点を置く形で研究に取り組んでいます。
 受験生の皆さん、大阪工業大学のキャンパスで元気な姿でお会いできる日を楽しみにしています。