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整数論

一般教育科 
教授 石川 恒男

石川 恒男
2019.04.22
 整数論は代数学の一分野で、2000年以上の歴史を持つ伝統的な数学です。「数学は科学の中の女王であり、整数論は数学の中の女王である」という言葉は有名で、研究の対象は整数や有理数に関連することすべてであり、その問題は小学生にもわかるものが多く存在します。例えば「素数は無限にあるか?」という問題は紀元前3世紀頃のユークリッドによる証明が有名で中高の教科書にも載っているものがあります。18世紀の数学者ガウスの時代になると「数xを与えたとき、x以下の素数は何個あるか?」という問題に発展していきます(素数定理、式1)。また、「等差数列の中にも素数は無限にあるのか?」など、1つの問題からどんどん新しい疑問が湧き出てきます。この問題は、現在「リーマン予想」という未解決問題に発展しています。

 また、日本人も多く整数論とかかわっています。古くは江戸時代の関孝和が有名で、高校で習う数列の和の公式式2)は西洋に先駆けて彼が証明したものと言われています。高木貞治の「類体論」や有名な「フェルマーの大定理」(式3)を含む「谷山・志村の定理」を発表した谷山豊や志村五郎など、20世紀に活躍した多くの日本人がいます。

 ところで、昨年の12月、梅田キャンパスで行われた「大阪サイエンスデイ」において、「1, 11, 111, 1111, 11111, 111111, ‥‥ の中に平方数は1だけである」ことを証明し発表した高校生チームがありました。とてもユニークな発表で印象に残っています。そんな彼ら彼女らは日々「1, 11, 111, 1111, 11111, 111111, ‥‥ の中に立方数も1だけである」の証明を考えているとのこと。このように整数論の問題は身近に溢れています。皆さんも整数論を楽しんでみませんか?