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地震に対する建築構造物の耐震性能と火災被災後の構造性能の評価に関する研究室の取組み

建築学科 
教授 馬場 望

馬場 望
2021.07.05
  • 建築構造物の「耐震性能」を検証する実験風景

    建築構造物の「耐震性能」を検証する実験風景

  • 建築構造物の「耐火性能」を検証する実験風景

    建築構造物の「耐火性能」を検証する実験風景

本学の研究施設である八幡工学実験場(京都府八幡市)には,土木・建築構造物の「耐震性能」を検証するための構造実験施設と,「耐火性能」を検証するための耐火実験棟が設置されています。建築構造物の「耐震性能」を検証する構造実験棟では,建築構造の主要構造である「鉄骨構造」,「鉄筋コンクリート構造」,「木質構造」に加え,これらの構造を複合あるいは混合した「合成・混合構造」を対象として,地震力を受ける建築構造物を想定した数多くの載荷実験が実施されており,その実験結果と解析結果から,建築構造物の耐震性能を確保するための設計法を確立するための研究活動が行われています。
 さらに,建築構造物には,日々の生活において,地震に比べて生じる可能性が非常に高い火災に対する「耐火性能」が要求されます。建築構造物は,十分な耐火性能を付与するための耐火設計法や多くの規定が整備されており,一般に高い耐火性能が備えられていますし,万一,建築構造物が火災を受けた場合,目視等によって受熱温度を推定する火害診断を実施して,被災構造物の補修・補強方法が検証されます。しかし,現行の耐火設計は,地震によって損傷した建築構造物がその直後に二次災害として発生する火災を受ける場合を対象としていません。また,現状の火害診断では,材料レベルでの安全性の確認を行うことが多く,火災を受けた後の建築構造物の耐震性能(残存構造性能)の評価法が確立されているとは言えません。
 本研究室は,ゼミ生を「耐震性能評価グループ」と「耐火性能評価グループ」によって構成し,コンクリート系の構造物を対象とした構造実験や耐火実験を実施して,建築構造物の要求される性能である地震に対する「耐震性能」と火災を受けた後の「残存構造性能」の検証とその評価法の確立を目指しています。ただし,構造・耐火実験では,ゼミ生のグループの垣根はありません。どちらのグループに所属していても,全ゼミ生はすべての実験に参画するという研究室のルールがあります。
 ゼミ生にとって,本研究室が建築構造物に要求される性能について幅広く学び,かつ,グループ,チームとして協働する能力を磨き経験できる領域であること,そして,その研究成果を社会に還元し,建築構造物の「耐震性能」と火害後の「残存構造性能」の評価に貢献できるよう,日々,ゼミ生とともに研究に取り組んでいます。