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情報科学部

情報知能学科 基礎物理学研究室


 アインシュタインの相対性理論により、時間・空間・物質は互いに影響を及ぼしているとされた。この視点は現在の観測結果と矛盾していない。しかしながら、我々はこの世界が何故「時間は1つ」「空間は3方向」「物質はクォークとレプトン(とヒッグス)」「力は4種」で構成されているのかをいまだ説明できていない。

 物質の根源は大きさを持たない点粒子ではなく、プランクスケール程度に拡がった弦だとすれば、時間・空間・物質・力すべてを「弦の振動モード」という単純な記述で表現できるのではないか、さらには困難とされた「一般相対論と量子論の融合」が可能になるのではないか、と期待されるようになった。これを超弦理論という。実際、20世紀終盤から21世紀にかけ超弦理論は大きく発展した。

 弦の運動を理論的に調査すると、アインシュタインの一般相対論などでは見えなかった時空構造の「双対性」が発現する。右図にあるように、半径Rのシリンダー状の時空上を伝搬する弦の質量スペクトルと、半径 α'/R のシリンダー状の時空に巻き付く弦の質量スペクトルは等価である。これを「T-双対性」と呼ぶ。
 
 私の研究室ではこのT-双対性を内蔵する時空構造の解明と応用に取り組んでいる。例えばある特殊な物体の周囲を一巡すると一般座標変換と同時にT-双対性が施された時空構造(T-fold)が超弦理論では自然に登場する。T-fold 上の物理現象はまだまだ未解明なものが多く、今後の進展で明らかにしたい研究内容である。


主な研究テーマ

  • 超弦理論における時空のコンパクト化
  • 場の理論・量子力学とその応用
  • 物理教育

指導教員

木村 哲士 教授 (キムラ テツジ)

専門分野

  • 超弦理論
  • 超重力理論
  • 場の量子論

研究室がめざすSDGs

  • 質の高い教育をみんなに

教員メッセージ

目に見えている広がりが世界の全てではありません。人間の感覚による経験則と自然法則は必ずしも一致しません。我々人類は、自然現象の再現性を定式化した物理学を用いて、力・物質の起源や時間・空間の成り立ちなど、この世界の根源に触れてきました。平たく言えば「この世界はナニモノか?」を問い続けています。

さらに近年では量子情報が近年注目され、誰でも触れられるようになってきました。量子情報は現時点での社会への即戦力ではないでしょうが、将来の発展を見据えて触れるのはよい機会でしょう。量子力学という基礎物理学の一分野が土台になっています。手計算やPCを使いながら基礎物理学とその先端分野に触れてみましょう。

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