代数幾何学とは
私の研究分野は、代数幾何学と特異点論です。代数幾何学とは、方程式で表される図形の性質を調べる数学の分野です。少し抽象的で難しそうに聞こえるかもしれませんが、その入口は高校数学にもあります。たとえば、二次関数y=x^2+4x+1という式は放物線のグラフを表します。さらに、この式を平方完成すると、放物線のグラフの頂点や形の特徴が分かりやすくなります。これは、式を変形する(代数的操作)ことで図形(幾何)の性質を読み取る、という代数幾何学の考え方につながっています。
もちろん、実際の研究では二次関数ではなく、より複雑な多項式や多変数の方程式がつくる図形を考えます。計算によって図形の性質を明らかにしたり、逆に図形の特徴から式の情報を読み取ったりすることができます。代数学と幾何学の間の橋渡しができるところに、この分野の大きな魅力があると思います。また、見た目には複雑な図形でも、式として捉えることで共通した仕組みが見えてくることがあり、そこに数学の奥深さがあります。
特異点とは
その中でも私が研究しているのが「特異点」です。特異点とは、図形の中で尖っていたり、枝が交差していたりして、なめらかでなくなる場所のことです。たとえば、図1の原点のような先のとがった点や、図2の原点のように曲線が自分自身と交わる点が特異点です。これらの点は一見すると、きれいでない「良くない部分」のように見えます。しかし、実はこうした特異点にこそ、その図形の本質的な情報が詰まっています。特異点がどのように現れるのか、どのように分類できるのかを調べることで、図形全体の構造が見えてきます。
私の現在の研究では、「高次元の商特異点」という、私たちが普段目にする2次元・3次元の図では捉えきれない図形を扱っています。これらは直接目で見ることはできません。しかし、代数的な性質を一つ一つ調べることで図形の「形」がわかってくる瞬間が、研究の醍醐味です。 高校で学んだ内容が、大学では様々な奥深い世界へと発展していくところに、学問の面白さがあります。



