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研究室VOICE 万が一の橋梁火災に備えて

工学部

Profile

工学部都市デザイン工学科

大山 理教授

橋梁工学研究室(1)

皆さんが日常の生活でいつも利用している構造物が、いざ使えなくなると?

我々の生活に欠かせない道路や橋、トンネルなどのインフラ構造物は、自重に加え、車や電車などの繰り返しによる荷重に耐え、さらに、予測の範囲を超えた地震や台風などの災害で損傷した場合、可能な限り早く復旧させることが求められます。
その災害の中で、火災による被害が国内外で報告され、例えば、タンクローリー車が横転・炎上した際、構造物の表面温度は最高1200℃近くになることもあり、この温度までに達すると、構造物が荷重に抵抗できる強度は、限りなく0(ゼロ)になってしまいます。
このように、構造物が高温に曝されると、最悪の場合、冒頭の写真のように崩落し、崩落に至らない場合でも、調査や補修などによる長期間の交通規制が行われます(写真-1)。したがって、道路や鉄道を管理する側は、被災した構造物の損傷状況や安全性を迅速かつ適確に判断することが求められますが、今日までに熱履歴を受けた構造物(特に、橋)に対する診断法は、十分に確立されていないのが現状です。
 
  • 写真-1 火災により通行止めとなった橋
    (=通行止めになると、これまで数分で行けていた場所に遠回りをして行くことになり、皆様は不便さを感じてしまいます)

西日本最大級の八幡工学実験場・構造実験センターで、どのような研究を行っているの?

そこで、当研究室は、西日本最大級の八幡工学実験場・構造実験センターで、他大学にはない大型水平加熱炉(写真-2)を使った実験や解析を通じて、診断法確立に向けて研究を行っています。
写真-2 大型水平加熱炉
(=この炉は、最高5分間で1200℃まで温度上昇可能で、トンネル内での火災もシミュレーションすることが出来ます)
その一例として、高速道路に架かる橋の中で、圧縮側には圧縮に強いコンクリート、引張側には引張に強い鋼を配置し一体化させた合成桁橋(写真-3)が、合理的かつ工費削減などの観点から建設の割合が増えてきています。
  • 写真-3 合成桁橋の一例
    (=基本、建設頻度の高い中小スパンの橋は、鋼とコンクリートを一体化させた合成桁橋が採用されています)
この合成桁橋は、材料特性が異なる鋼とコンクリートを一体化させる必要がありますが、この重要な役目を担うずれ止めはコンクリート内に存在するため、熱履歴を受けても、その損傷状況を目視で確認することが出来ません。そこで、これまでの要素実験を通して、熱影響によりずれ止め周辺のコンクリートにひび割れが発生することが分かりました。そこで、そのひび割れの発生度合いから、鎮火後、通行を再開、つまり、車などの繰返し荷重の影響を受けて一体化が低下するか否かを判断する指標を提案しました(図-1)。
そこで、その指標の妥当性を検証するために、7.0mの桁を680℃、30分で加熱した後(写真-4)、自然冷却した試験体に対して、繰返しの荷重を載荷する実験を行いました(写真-5)。その結果、鋼とコンクリートの間に隙間が確認、つまり、提案した指標(図-1より、680℃、30分で加熱した場合、ひび割れ密度は400cm/m²以上になっている)の通り、両者の一体化が保てないことを確認しました(写真-6)。
  • 図-1 ひび割れ密度-ずれ定数の関係
    (=ひび割れの発生度合(ひび割れ密度)は、目視ですぐに調べることが出来ます。これまでの研究で、ひび割れ密度が400cm/m²を超えると繰返し載荷により鋼とコンクリートの一体性が保てなくなる(=ずれ易さを意味するずれ定数が200kN/mm以下)指標を提案)
  • 写真-4 加熱試験の状況
  • 写真-5 680℃、30分間加熱後、自然冷却した試験体の繰返し載荷試験
    (=八幡工学実験場・構造実験センターでは、要素試験から実物大に近い試験体での載荷試験が可能です)
  • 写真-6 繰返し載荷試験の結果
    (=一般的に、200万回の繰返し載荷試験で問題無ければ健全と判定されますが、この実験では、78万回で鋼とコンクリートに隙間が見られ、一体化していないことが確認されました)

トンネル火災の初期判定に協力しました

2023年9月、山陽自動車道「尼子山トンネル」にて走行中の大型トラックから出火、乗用車などに延焼し、鎮火に40時間以上を要する火災が発生しました。その際、このトンネルを管轄する西日本高速道路株式会社の要請を受け、いち早く現場に赴き、これまでの火災に関する研究成果に基づき、被害状況の初期判定に協力しました。

■関連リンク:都市デザイン工学科の大山理教授が西日本高速道路から感謝状を贈呈されました。
https://www.oit.ac.jp/news/prize/prize417.html

インフラ構造で火災が起こらないことが1番ですが、万が一の場合、皆さんが不便さを感じないように、より迅速かつ的確に判断することができる手法を構築し、社会貢献に努めていきたいと思います。