「微小な反応空間」を反応場とするマイクロリアクター
皆さんが、実験室で化学反応を行うとき、フラスコやビーカーといった反応容器を用いると思います。これらはバッチ系反応容器と呼ばれます。これまでの化学反応の発展はバッチ系反応容器を用いたものがほとんどでした。私たちは、マイクロメートル(ミリメートルの1000分の1)サイズの「微小な反応空間」に試料を流す反応容器であるマイクロリアクターを用いた光化学反応について研究しています。
マイクロリアクターを用いた光触媒反応
マイクロリアクターを用いた光化学反応として、特に光触媒反応に着目しています。光触媒は光を照射することで機能する触媒で、温和な条件で化学反応を行うことができるため、有機合成に利用されます。従来の光触媒を用いた有機合成の多くはバッチ系反応容器に光触媒粉末を加えて行います。バッチ系による手法では、照射する光が触媒全体に行き渡らず反応があまり進まない、反応終了後に光触媒粉末の回収作業が必要、生成物が滞留することによる逐次的な副反応が起こりやすいといった問題点があり効率的な合成を行うことが困難でした。光触媒薄膜を担持したマイクロリアクターを用いることによって均一な光照射、光触媒粉末の回収プロセスの省略が可能となります。さらに試料の流速を調節することで試料の光照射時間を精密に制御し生成物の逐次的な副反応を回避することができます。したがって、光触媒担持マイクロリアクターはバッチ系での問題点を解決することができ、光触媒反応プロセスの効率化が期待できる画期的な反応装置となることが期待できます(図1)。
これまでの研究により、光触媒薄膜担持マイクロリアクター中において、ベンゼンはバッチ系反応容器とは異なる化学反応を起こすことが分かっています(図2)。この反応メカニズムを解明することで、「微小な反応空間」で起こる新たな化学反応について理解すること目指しています。
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図1 バッチ系とマイクロリアクターの光触媒反応の比較 -
図2 マイクロリアクターにおけるベンゼンの特異的な化学反応



