本研究成果は、世界最大級の学術出版社エルゼビア(Elsevier)社が発行し、Scopusデータベースの安全研究(Safety Research)分野で世界上位11%(Q1)に格付けされる国際学術誌『Progress in Disaster Science』に掲載されました。
【研究の核心】
l 原発事故が関心を「再活性化」: 阪神・淡路大震災に比べ、東日本大震災の報道は極めて持続的かつ組織的でした。これは、原発事故という「複合災害」の側面が、エネルギー政策や倫理、リスク認知といった新たなテーマを次々と生み出し、議論を再燃させる「再アジェンダ設定(再アジェンダ化)」が起きたためであることが示唆されました。
l 「風化」に抗う報道セクションの役割:1面記事などの速報が急減する一方で、地方版や社会面は長期にわたり安定して報道を継続していました。これらの紙面は、短期的な関心が薄れた後も、災害を社会の記憶として繋ぎ止める「社会の記憶装置」として機能している実態を明らかにしました。
l 複数の時系列解析を統合した分析アプローチ:周期的な関心の高まりを分離する「STL分解」と、短期・長期の減衰を数式化した「二相減衰モデル」を統合した分析枠組みを構築しました。これにより、主観的な印象に頼らず、報道が速報から社会の記憶へと移行するプロセスを客観的なデータとして捉えることを可能としました。
【論文情報】
題名:Modeling social interest dynamics after earthquake disasters: A time-series analysis of newspaper coverage using STL decomposition and two-phase decay models
雑誌名:Progress in Disaster Science, Volume 29, 2026, 100509
著者:Kaito Fujie(大阪工業大学), U Hiroi(東京大学), Fumihiro Sakahira(大阪工業大学)
DOI:10.1016/j.pdisas.2025.100509
URL:https://doi.org/10.1016/j.pdisas.2025.100509
【研究助成】
本研究は、JSPS 科研費基盤研究(課題番号:24H00364)の支援により実施されました。



