大阪工大×台科大EiAチームが大阪・関西万博で国際PBL成果を展示
大阪工業大学と国立台湾科技大学のEiA(Engineers in Action)チームは、7月28日から8月1日にかけて、大宮キャンパスおよび奈良県川上村の源流分校(旧川上東小学校)で国際PBLを実施。その成果は9月26日から28日に大阪・関西万博「フューチャーライフヴィレッジ TEAM EXPOパビリオン」で「国際協働で村の活性化を!行動するエンジニア」と題して展示され、3日間で624人の来場がありました。
今年のプロジェクトでは、専門分野や学年の異なる日台19人の学生が「地域素材を生かした環境に優しいものづくり」をテーマに、4つの課題に取り組みました。
化学・環境・生命工学専攻の大学院生をリーダーとする「こんにゃく班」は、化学の知識を活用してこんにゃくの主成分グルコマンナンがトルコアイスと同じ成分であることに着目し、同村で長年こんにゃく製造を営む大辻徹路さんの協力を得て、伝統製法によるこんにゃくづくりの基礎を学んだあと、化学反応(凝固過程や粘性特性)を応用して若年層にも関心を持ってもらえるよう、健康的かつ持続可能なスイーツ開発を行いました。また機械工学科研究推進クラス4年生をリーダーとする「灯篭班」は、台湾の九分老街や川上村の七夕灯籠祭をヒントに、川上 村に自生する竹と草木染の特性を生かして発光色の異なる竹灯籠を制作し、異文化交流と環境デザインの融合を体現しました。
一方、台湾科技大学の参加チームは、土木建設工学専攻の大学院生が、大地震が起きた際の避難所として源流分校の安全性を診断できる「構造ヘルスモニタリングシステム」を提案。川上村での合宿期間中に加速度計とセンサーを仮設置して、遠隔からリモート監視により、建物の相対変位(揺れ)を検出できることを確認しました。同大学部生らによる 避難ボード班は、吉野杉を加工し、太陽光発電LEDを組み合わせた夜間視認性の高い誘導板を設計し、源流分校の校庭に設置するなど、環境・防災・情報技術を横断した課題解決に挑戦しました。
8月1日に川上村役場で開催された「こんにゃくスイーツ試食会」では、大辻さん監修の下、森内太副村長をはじめ役場職員や地域おこし協力隊から直接意見をいただき、学生たちは科学的探究心を地域課題に結びつける実践的な学びを体験しました。
このEiAプロジェクトは、台湾教育部が推奨するUSR(University Social Responsibility)活動の一環であり、協定校の台湾科技大学を中心に、セプールノーペンバー工科大学(インドネシア)、ウィドヤマンダラカトリック大学(同)、カントー大学(ベトナム)の各活動拠点でも展開されています。本学学生も近夏参加し、異なる専門分野・文化背景を持つ仲間と共に、科学技術の社会実装を意識した国際協働に取り組みました。
万博会場では、データサイエンス学科4年生をはじめリーダー学生らが中心となって、世界5地域での活動成果をまとめた動画やポスター、試作品を制作して展示し、来場者にEiAの活動内容を紹介しました。またTEAM EXPOパビリオン出展者同士の交流イベント「ミライ×未来ソーダ」のステージにも登壇し、EiAの取組のアピールとともに、工学的視点から持続可能な社会の創り方への思いを披露しました。来場者からは「学生の発想力と行動力に感動した」といった声も寄せられました。
参加学生らはこの活動を振り返って「地域の素材や科学を結びつけて課題を考えることの難しさと面白さを実感した」「自分の研究や技術が人の生活を豊かにできることを体験できた」「自分の力はちっぽけに感じても誰かと協力すると無限の可能性があることを知った」などと感想を述べています。
万博の閉幕とともにプログラムは一区切りとなりましたが、この経験は、未来社会を支えるエンジニアとしての成長につながる大きな一歩となったといえるでしょう。
万博に出展した日本での活動の動画はこちらをご覧ください。