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ニュース 鳥人間コンテスト第2位!伝統と革新の融合による好成績の秘訣に迫る

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 7月26日、27日に滋賀県彦根市の松原水泳場特設会場で開催された読売テレビ主催「Iwataniスペシャル第47回鳥人間コンテスト2025」の人力プロペラ機部門に本学の人力飛行機プロジェクトが出場し、11804.81mのフライトに成功し、歴代最高順位の2位に輝くフライトを見せました。また、本学史上初の旋回点(折り返し地点)を通過しました。今回は成果の秘訣について、人力飛行機プロジェクトの学生への取材から、機体の特徴と今年導入した新技術、そしてパイロットの操縦技術の3つのポイントで解説します。
 
 本学の機体の大きな特徴は「1枚ブレードプロペラ」です。鳥人間コンテストに出場する多くのチームが採用するのは主流の「2枚ブレードプロペラ」ですが、本学では、あえて1枚だけのブレードを採用しています。その理由は大きく2つ。第一に、エネルギー効率の高さです。2枚ブレードでは、1枚目のブレードがかき混ぜた空気の中を2枚目が通るため、十分な推力を得にくくなりますが、1枚ブレードであれば、常に新鮮な空気をつかむことができ、理論上は3%ほど効率が高いと試算されています。第二に、製作の工数の削減です。2枚を製作する必要がある他チームに比べて、本学は1枚で済むため製作時間を短縮でき、他の開発作業にリソースを割けるメリットがあります。本学では、2012年から1枚ブレードプロペラを導入し、当初は1kmに満たない飛行記録しか残せませんでしたが、研究と改良を重ねることで、今日の成果へとつながっています。
 
 今年の機体の目玉は、新たに導入された「テレメトリシステム」です。機体の対気速度や高度、ペダルの回転数といったデータを計測し、パイロットだけでなく、機体に伴走するボートに同乗しているスタッフや陸上で応援するスタッフにもリアルタイムで共有されます。これにより、これまではパイロットの感覚に頼っていたフライトの調整を、観測データに基づいてチーム全体で分析・サポートできるようになりました。このようなシステムを導入できたのも、伝統の1枚ブレードプロペラを採用することによって機体の製作時間を抑え、その分をシステム開発や機体のさらなる精度向上に充てられたためです。テレメトリシステムを扱うチームが少ない理由について、人力飛行機プロジェクトの新リーダー山本貴王さん(機械工学科2年)は、「鳥人間コンテストに出場し、記録を残すこと自体の難易度が高く、多くの大学は限られた時間の中で、機体の製作にかける割合が高いためではないか」と推測しています。
 
 テレメトリシステムの導入にあたっては、既にこの技術を使っている他大学からベースとなる仕組みを学び、本学用にアレンジしました。製作を担当した村上壮希さん(電子情報システム工学科3年)は、「インターネットとデータベースの連携が難しく、2日間徹夜で製作したこともある。一人で作り上げたので、手探りの状態で大変だった」と製作の日々を振り返りました。人力飛行機プロジェクトには、機械工学科の学生を中心として、さまざまな学科の学生が所属しています。テレメトリシステムの技術が属人化しないよう、1年生向けの教育プログラムも実施し、電装班に配属された直後から、CAD、基板設計、電子回路、プログラミング、はんだ付けなど、幅広いスキルを学べる体制を整えています。
 
 リーダーの山本さんも「最終的に記録を支えているのはパイロットである」と語るように、テレメトリシステムの導入など、機体の進化と同じくらい大切なのがパイロットの運転技術です。今大会、本学の出走した時間帯は、プラットフォーム付近では南東からのやや強い風が吹き、沖では風向きが目まぐるしく変化する気象条件で、例年になく難易度の高いコンテストでした。本学パイロットの小野健悟さん(機械工学科3年)は、左右の動きで横風をいなす技術に長けていたことで、前のチームが風に煽られ脱落する中、長時間飛行を続け、本学史上初となる旋回地点の通過を果たしました。
 
 小野さんの操縦技術の背景には、パイロット向けの勉強会や、テスト飛行での風に流された際の対応練習などがありますが、最終的には小野さん自身のセンスによる部分が大きいと分析されています。今年の健闘結果には、トリム(飛行姿勢を安定して保つための補助装置)の操縦が鍵を握りましたが、この操作については特段の練習を積んだわけではなく、ぶっつけ本番での対応だったとのこと。村上さんは、「ハンドル操作をデータ化するシステムを構築することによって、その飛行結果が操縦によるものなのか、風の影響によるものなのか、分析できる状態にしたい」と次年度の大会に向けた意気込みを語りました。
 
 今後の目標は、操縦を自動化するオートパイロットの実現とのこと。そのために、センサーを増設して機体の動きを多角的に計測し、得られたデータを活用してシミュレーションの精度を高め、自動操縦の仕組みづくりへとつなげていく予定です。人力飛行機プロジェクトのさらなる挑戦は続きます。
 
  • 飛行中に送信されるデータの一例
  • 機体に搭載されたテレメトリシステムの発信機
  • 歴代の1枚ブレードプロペラ