大阪工業大学と韓国の国立芸術大学である韓国芸術総合学校(K-Arts) による国際PBLプログラムを実施。

本プログラムには、大阪工業大学情報科学部、ロボティクス&デザイン工学部空間デザイン学科、イノベーションデザイン教育研究センターが参画し、K-Artsの学生と本学学生による混成チームで課題解決に取り組みました。
担当教員は、本学情報科学部の中西先生、ロボティクス&デザイン工学部の三浦先生、イノベーションデザイン教育研究センターの矢倉先生、K-Artsの沈揆夏先生、魚旻善先生の5名。学生22名と合わせ、総勢27名が参加しました。
今回のPBLでは、アート、デザイン、情報など、異なる専門領域を学ぶ学生がそれぞれの知識や視点を持ち寄りながら、3日間にわたって一つの課題に取り組みました。
今回、スポンサー企業として内外電機株式会社様にご協力いただき、同社の主要事業の一つである「キュービクル」を題材とした課題を設定しました。
プログラムのテーマは、「ITとデザインで、都市の『余白』を遊べ。 」です。
キュービクルは、受電した高圧電力を建物で使用できる電圧に変換するための設備であり、私たちの生活や都市機能を支える重要なインフラです。都市のさまざまな場所に設置されている一方で、普段の生活の中でその存在や役割を意識する機会は多くありません。また、設備としての機能が優先されることから、そのデザインや設置空間について改めて考える機会も限られています。
そこで今回のPBLでは、このような「身近に存在しながら、普段は意識されることの少ない設備や空間」を都市の「余白」と捉えました。その余白を新たな視点から捉え直し、キュービクルをリデザインすることで、都市やそこに暮らす人々の行動、日常の営みにどのような変化を生み出すことができるかを学生の皆さんに考えてもらいました。
また、現在の課題を解決するだけではなく、将来起こり得る社会の姿からデザインを考える「スペキュラティブデザイン」の考え方も取り入れました。学生たちは未来の社会や生活環境を想定した上で、「その未来においてキュービクルはどのような存在になり得るのか」という視点からアイデアを検討しました。

専門分野と文化の違いを越えたチーム活動
3日間という限られた期間の中で、日本と韓国の学生による混成チームは、アイデアの検討から成果物の制作、最終発表までを行いました。
専門分野だけでなく、使用する言語や文化的背景も異なるメンバーによるチーム活動では、コミュニケーションそのものが一つの課題となります。学生たちは翻訳ツールを活用するとともに、必要に応じて身振り手振りやスケッチなども用いながら、自分の考えを伝え、相手の意見を理解しようと試行錯誤していました。
情報技術の視点、空間やプロダクトを捉えるデザインの視点、アートを背景とした表現や発想など、それぞれの専門性を組み合わせながら議論を重ね、チームとして一つの提案へとまとめていく様子が見られました。



また、今回のプログラムは課題解決型学習だけでなく、国際交流の機会としても意義のあるものとなりました。
日本と韓国の学生は互いの国の文化やエンターテインメントに関心を持っており、ワークに真剣に取り組む一方、休憩時間には趣味や音楽、食文化などについて会話を交わす場面も多く見られました。異なる文化的背景を持つ学生同士が、共同作業だけでなく日常的なコミュニケーションを通じて交流を深める機会となりました。


未来社会におけるキュービクルの姿を提案
プログラム最終日となる3日目には、各チームが内外電機株式会社様に向けて成果発表を行いました。
各チームは、キュービクルの外観を変更するといった単純なリデザインにとどまらず、デザインと情報技術を組み合わせながら、未来の都市や人々の生活においてキュービクルがどのような役割を担うことができるのかを提案しました。
それぞれの専門性や文化的背景を反映した多様なアイデアが発表され、内外電機の皆様からは、学生からの提案について「自分たちにはない視点、気づきをたくさんいただけた」とのコメントをいただきました。
普段からキュービクルの製造や事業に携わる企業と、これまでキュービクルを専門的に扱ったことのない学生が同じテーマについて考えることで、新たな視点からその可能性を検討する機会にもなりました。



最終発表では、内外電機株式会社様に全チームの中から1チームを「内外電機賞」として選出いただきました。
受賞したのは、本学情報科学部の北本健阿樹さん、岩本彩那さん、ロボティクス&デザイン工学部の三好舞さんが所属するAチームです。
各チームがそれぞれ異なる視点から提案を行う中、Aチームの提案が内外電機賞に選ばれました。

社会のグローバル化が進む中では、自らの専門性を持つだけでなく、異なる専門分野や文化的背景を持つ人と協働しながら、新たな価値を生み出す力が求められています。
今回の国際PBLでは、アート、デザイン、情報という異なる専門分野を持つ学生が、日本と韓国という国境を越えて一つの課題に取り組みました。
参加した学生たちはもともと互いの国の文化に関心を持っていましたが、実際に対面でコミュニケーションを取り、一つの成果物を共同で制作することによって、相互理解をさらに深める機会にもなりました。限られた期間の中で、言語や専門性の違いを乗り越えながら協働した経験は、今後さまざまな場面で異なる背景を持つ人々と協働する上でも重要な経験になると考えられます。
このような学びの機会をご提供いただき、プログラムの実施に多大なるご協力をいただきました内外電機株式会社様に、心より御礼申し上げます。
また、遠路日本までお越しいただき、本学学生とともに3日間のプログラムに取り組んでいただいたK-Artsの沈揆夏先生、魚旻善先生、学生の皆様にも、心より感謝申し上げます。
今回の国際PBLを契機として、今後も大学や専門分野、国境を越えた交流と協働が広がっていくことを期待しています。
本学参加学生
情報科学部
B2 岩本彩那
B2 中川紗貴
B2 和辻琥太朗
B3 廣田琉華
B3 信濃音々
情報科学研究科
M1 北本健阿樹
B2 東條瑞穂
B2 藤岡鈴菜
B4 三好舞
B3 舩木桜陽



