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大学院生の杉本さんが「オープンCAE・FrontISTR合同シンポジウム2020」で学生表彰

2021.01.07

  • 初めての研究発表での表彰に笑顔を見せる杉本さん 初めての研究発表での表彰に笑顔を見せる杉本さん
  • 高さが15mもあるPCB水熱酸化分解反応器の外観 高さが15mもあるPCB水熱酸化分解反応器の外観
  • 反応器の実機形状をメッシュ分割して解析を行った 反応器の実機形状をメッシュ分割して解析を行った

 12月3日~5日、杉本暁大さん(ロボティクス&デザイン工学専攻博士前期課程1年)が、オンラインで開催された「オープンCAE・FrontISTR合同シンポジウム2020」で研究成果を発表し、学生表彰を受けました。同シンポジウムは計算科学などの普及を目的に設置されたオープンCAE学会とオープンソースの構造解析プログラムの利用を促進し、産業競争力の強化に貢献するなどを目的としているFrontISTR commonsによって開催されました。
  
 杉本さんは、所属するロボティクス・シミュレーション研究室(指導教員:倉前宏行教授)で中間貯蔵・環境安全事業 東京PCB処理事業所との共同研究に取り組んでいます。同事業所では、国の監督の下、水熱酸化分解法により、電気機器の絶縁油や熱交換器の熱媒体などさまざまな用途で使用されていたPCB(ポリ塩化ビフェニル)を安全に処理しています。PCBは有用性の高い化学物質でしたが、人体に対して高い毒性があることが判明し、1972年に製造が中止に。現在では法的に製造・使用・輸入が禁止されています。また、分解処理には370℃・26.5MPa(大気圧の約260倍)の高温・高圧に保たれた反応器内の熱水中で、水酸化ナトリウムと液体酸素によって化学反応を起こす必要があります。
 2017年より、水熱酸化分解反応器のさらなる安全運用を目的に、本学との共同研究がスタートしました。研究チームは反応器内部流体の熱流動状態を明らかにするため、3D CADにより反応器の実機形状モデルを作成し、内部流体の熱流動解析と反応器本体の熱伝導解析が行えるオープンソースソフトウェアのOpenFOAMを用いてシミュレーションしました。同ソフトは複数の物理現象を複合(連成)して解析することができ、3D CADデータから構築した複雑な形状の3次元解析メッシュを使用してシミュレーションを行い、妥当な結果を得ることができました。今後は反応器の安全性評価を進めていきます。
 
 杉本さんは「シミュレーションに使用したソフトはオープンソースのため、公式なサポートなどがなく、シミュレーションに不具合があった際に問い合わせ先がなく苦労しました。ただ、今回のシミュレーションにはなくてはならないソフトだったので、英語の情報サイトや試解析を繰り返して解決しました。学会では一連の研究活動で得た多くの知見を、自分自身の言葉で説明できて自信につながりました」と話しました。
 
<発表題目>
「OpenFOMAを用いたPCB水熱酸化分解反応器の熱流動-熱伝導連成解析」
<研究メンバー>
杉本暁大(ロボティクス&デザイン工学専攻博士前期課程1年)
倉前宏行 教授(ロボット工学科 ロボティクス・シミュレーション研究室)
松本政秀 教授(環境工学科 知能設計工学研究室)
渡辺信久 教授(環境工学科 循環基盤工学)