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研究室VOICE 切削加工における職人の勘・コツの見える化を目指して

工学部

Profile

工学部機械工学科

松井 翔太准教授

生産システム工学研究室

●切削加工が注目される時代へ

 「切削加工」をご存じでしょうか。多くの方は、「切削加工」と聞いても、どのような加工なのかイメージしにくいかもしれません。しかし、ものづくりには欠かせない重要な加工方法の一つです。
 実は、2025年秋に公開された「iPhone 17 Pro」のCM(youtubeリンク:https://www.youtube.com/watch?v=-gwmsZg3luk)では、この切削加工が紹介されました。CM冒頭では、本体ケースを工具で削り出す様子が映し出されています。私も最初は工作機械のCMだと思って見ていましたが、それがiPhoneのCMだと分かったとき、「切削加工がここまで注目される時代になったのか」と感動しました。

●切削加工を「見える化」する研究

 切削加工とは、工具(刃物)を用いて金属を削り、目的の形状を作る加工方法です。スマートフォン、自動車、航空機、医療機器など、私たちの身の回りの多くの製品に利用されています。私は、この切削加工の「見える化」をテーマに研究を行っています。
 切削加工では、工具の回転数や送り速度などの加工条件を適切に設定することが重要です。しかし、その判断は現在でも熟練技能者の経験や勘に頼る部分が多くあります。例えば、「加工中の音が変わった」「火花が増えた」といった感覚を基に条件を調整しています。そのため、経験の少ない人が同じ判断をすることは容易ではありません。
 そこで私は、加工中に工具へ加わる力を測定し、その値を利用して加工状態を評価する研究に取り組んでいます。専用の測定装置(図1)を用いることで、工具に加わる力をリアルタイムで数値化し、「この値を超えたら加工条件を見直す」「この範囲なら効率よく加工できる」といった判断を客観的に行えるようになります。図2に示す測定データでも、左右で力の大きさが大きく異なっており、加工状態を数値として把握できることが分かります。
 現在、製造業では少子高齢化の影響により、熟練技能者の技術を次世代へ伝えることが大きな課題となっています。経験や勘を数値として見える化できれば、技能伝承を支援し、誰もが高品質な加工を行える環境づくりにつながります。

 私の研究もまだ発展途上ですが、この研究を通して日本のものづくりを支える技術の発展に貢献したいと考えています。皆さんも大学で多くのことを学び、一緒に日本の製造業を盛り上げていきませんか。
  • 図1 測定装置

  • 図2 測定データ例