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学生相談室STUDENT COUNSELING

【学生相談室コラム】学生相談室だより(おおよど282号2022年10月掲載)

2022年10月13日

  • 「人生に疲れたときは、高いところに登るのもオススメ。人間って小さいなぁ。」 「人生に疲れたときは、高いところに登るのもオススメ。人間って小さいなぁ。」
  • 「絵本を読んで休憩しませんか」 「絵本を読んで休憩しませんか」

『めんどくさくてやる気が起きない』

 なにもかもめんどくさくてやる気が起きない…。そんなときはないでしょうか。私はあります。
 そんなときは、少し休んで、やりたくないことはできるだけやらず、やりたくなったときにやりたいことだけをやる。そんな怠惰な日々をしばらく送っていると、そのうち段々元気になって、また元通りいろんなことができるようになる…こともあります。困るのは、どんなに怠けても、ちっとも元気にならないときです。元気にならないどころか、ますますめんどうくさくなって、なにもやりたいことがなく、「このままでいいんだろうか?」と不安や焦りがうまれてきます。なんとかしなくちゃ、と思うものの、かといってしたいことはないし…。もはや生きるのがめんどくさくなります。
 思えば、私たちは自分の意思でこの世に生まれてくるわけではありません。(自分で選んで生まれてくるんだ、という人もいるかもしれませんが…)。変な言い方ですが、私たちはみな、生まれてしまったので生きているのではないでしょうか。「生きるぞー!」と生きることにモチベーションを持って生きている人は少ないのかもしれません。
 そう、生きることはそもそもめんどくさいといえるのかもしれません。
 勉強はめんどくさいし、人間関係もめんどくさい、働くこともめんどくさい。
 めんどくさいことを全部避けていたらどうなるでしょうか?ラクかもしれませんが、楽しいこともなにも起こりません。悲しくて泣くこともない代わりに、嬉しくて笑うこともありません。幸せを感じることもないでしょう。
 めんどくさいことのなかにしか、幸せはない…。そう気づいてから、最近の私は、めんどくさいことをあえてやろう、と自分に言い聞かせています。めんどくさいときには、「めんどくせ~」とこころのなかでぼやきながら、それでもなお、めんどくさいからこそやる。やっていると、ちょっとずつ、こころのなかに動きが戻ってくるように感じています。

学生相談室カウンセラー 橋本 由布子

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『「にげる」ことで得られるもの』

 ヨシタケシンスケさんの絵本を読んだことはありますか?「みえるとか みえないとか」「りゆうがあります」など、子どもから大人まで楽しめる絵本を、たくさん世に送り出されています。
 ヨシタケさんの絵本を読むと、クスッと笑えて何だかほっとします。絵本なのに、大人が読んでも深く考えさせられたり、励まされたり、普段の自分をちょっと反省したりする、不思議な絵本です。この不思議さは何なんだろう?と思っていたら、その謎を解くヒントをインタビュー記事の中に見つけました(朝日新聞デジタル「『にげてさがして』ヨシタケシンスケさんが込めた思い」2021年8月28日)。
 ヨシタケさんは、自信がない、楽しいこともない、という子ども時代を過ごしたそうです。自分はできないと思い込んでいて、ネガティブな性格。サラリーマンになりましたが、生きているのが嫌になってしまう自分を励ますために、イラストをこっそり描き続けていました。絵本作家としてデビューした時には色つけがうまくできず、編集者から「(色つけは)デザイナーさんにお願いしましょう」と言われてほっとしたそうです。そんなヨシタケさんは、「苦手なことからずっと『逃げる』ことで、現在の仕事にたどりついた」と言います。
 「にげてさがして」(赤ちゃんとママ社)という絵本は、そんな実体験から生まれました。そして、これ以外の本もまた、ネガティブに考えてしまうヨシタケさんが、日々自分を励ますために描き溜めたイラストを創作の源として生み出されたのです。私はこのインタビュー記事を読んで「だから、ヨシタケさんの絵本を読むと、クスッと笑えてほっとするんだなあ」と、とても納得しました。ヨシタケさん自身が生きる中で困ったり悩んだりした時に考え抜いたエッセンスが絵本につまっており、読む人の心がそれに共鳴するのではないでしょうか。
 大学生の皆さんは大人ですが、ぜひヨシタケシンスケさんの絵本を手にとって欲しいと思います。人生で行き詰まったり、ちょっと疲れてしまったなあという時、自分なんてダメだと思って落ち込んだ時に、きっと支えになってくれるはずです。

学生相談室カウンセラー 大谷 真弓