これを読んでいる皆さんのなかには、学生相談室を利用したことのある人、ない人、存在さえ知らない人もいると思います。相談室は悩みや不安を話し考えていく場所ですが、相談するかどうかをまず悩む、という人もいるでしょう。人に頼りたくない、話しても解決しない、とにかく時間がない、など理由はそれぞれかと思います。
　この春から夏にかけて世の中が活気を取り戻すとともに、何かしないと、成果を出さないと、というせわしなさも感じます。前に進めないと思うと焦るし、周りのことは気にしないでと言われても難しい。そんな中で思い出したのは、何かで耳にした、山で遭難した時の対処です。
『焦ってむやみにあたりを歩きまわったりせずに、その場で休憩をとり、行動食を食べたり水分を補給したりしてまずは気持ちを落ち着かせよう。冷静さをとり戻したら、周囲の地形をよく観察してみる。』((登山・山岳遭難対策制度jRO(ジロー)日本山岳救助機構 (sangakujiro.com)「遭難／道に迷ってしまったら」参照2023.8.29))
　あえて立ち止まる、という判断は、前に進むよりもエネルギーがいるかもしれません。でもそれは意味のある一旦停止です。休むためには腰を下ろせるような平地や木陰、テントなどあれば、なおいいでしょう。
　学生相談室も、そういう場所のひとつになれると良いな。一息ついて、また次の一歩へ向かうために。そんなことを思いました。

学生相談室カウンセラー　山下　彩