「新しい世界との出会いを」

　新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心も体も元気に新生活をスタートされたでしょうか。
入学後すぐは初めて経験することも多く、人によっては緊張が強くなったり疲れが出たりするかもしれません。そんな時はしっかり休息を取って、周囲の助けを得ながら少しずつ大学生活に慣れていってくださいね。
　さて、皆さんは「4分33秒」という曲を知っていますか。アメリカの作曲家ジョン・ケージが1952年に発表した曲で、ピアノやオーケストラで演奏されます。驚くことにこの曲の楽譜には最初から最後まで
“TACET（休み）”しかありません。つまり演奏が始まると、何の楽器の音も鳴らない静寂が広がるのです。しかしその静寂の中には、人々の息遣いや空調の音など、偶発的に生まれた多様な音が含まれており、聴衆はその音楽を聴くという体験をするのだそうです。音楽とは楽器の音や歌声を含むものだと思っていた私にとって、この曲は衝撃的でした。何も演奏しないなんて、初めは、お笑いのコントかと思いましたが、無音の音楽という世界を知り、新たな扉が開くような思いでした。この曲のように、世の中には自分の価値観を180度変えるような、思いもよらないものがたくさんあるのだろうと思います。
　大学生活の中では、今まで知らなかった新しい世界との出会いがたくさん待っているはずです。思い込みにとらわれず、様々な価値観に触れて、自分の世界を大きく広げていってください。

学生相談室カウンセラー　重田 智