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「第3回建築都市逍遥講座」を開催
2017.12.04
工学部は11月25日、ベストセラー『バカの壁』の著者で知られる、東京大名誉教授の養老孟司氏と『里山資本主義』などの著者で地域エコノミストの藻谷浩介氏を講師に迎え、梅田キャンパスの常翔ホールで「第3回 建築都市逍遥講座」を開催しました。当日は、建築業界の関係者や専門家、一般参加者など学外から約350人が参加しました。
本講座は、アリストテレスの開いたリュケイオンの歩廊(ペリパトス)を逍遥(そぞろ歩き)しながら哲学を語り合ったというペリパトス学派にあやかり、大阪の建築や都市にかかわる哲学的な「知」について議論を深める場として毎年開催しています。
講演で藻谷氏は「人口成熟時代のまちづくり」と題し、都市部への人口集中や地方の過疎化問題について「この問題の着目すべき点は、各都道府県の総人口の増減ではなく労働力の中核をなす15~64歳までの生産年齢人口の減少と65歳以上の老年人口の増加である」と解説。過疎化が進むと言われている地方の生き残りについても、その地域ならではの特産品を生かしたブランド戦略や郊外の市街地に居住、教育、福祉、交流機能を集約した利便性を高めるコンパクトシティ化などの施策を例に上げ、地方が秘めている可能性について述べました。
続いて養老氏は「建築と都市における『手入れ』という考え方」と題して講演。「近年の日本の建築物の多くは、建設時が一番美しいとされがちで、次々と趣きのある古い家屋が消え、機能性を重視した建築物に変わってきている。社会もこの『手入れ』を良しとしがちだが、果たしてそうだろうか」と聴講者に問いかけ、古いものを新たなものに建て替えるだけでなく、月日を重ねるごとに価値を高める優れた建築物や都市を私たちの「故郷」として守り、次世代に残すことこそが真の「手入れ」であると説きました。