工学と農学の知識を融合して植物の潜在能力を探る

環境工学科 
准教授 河村 耕史

河村 耕史
2012.10.29
  • LED植物工場の概観

    LED植物工場の概観

  • 藻類の単離培養の様子

    藻類の単離培養の様子

  • 藻類の培養試験の様子

    藻類の培養試験の様子

 私たちの生活は植物によって支えられています。たとえば、私たちは、野菜•果物•穀物などの食糧を植物から得ています。肉や魚も元をただせば植物に由来します。さらには、植物由来の成分を含む医薬品や化粧品、あるいは染料•紙•木材•繊維などもあります。より大きな視点で考えると、植物の存在価値がさらに分かります。たとえば、植物の光合成活動によって、私たちの呼吸に不可欠な酸素が供給されています。さらに、光合成は、大気中の二酸化炭素を有機物に変換してくれます。このように、植物は人間にとって欠かせない存在です。そのため、生命環境学研究室では、植物の生命活動の仕組みをより深く理解し、植物の持つ隠れた潜在能力をさらに引き出すための研究を進めています。
 
 具体的な取り組みの一つは、LED植物工場を使った野菜の栽培実験です。LED植物工場とは、LED光源と水耕栽培システムを備えた人工の植物栽培設備です。そこでは、太陽の光も土も必要としません。天然の露地栽培では実現不可能な、早い成長速度•高い栄養価を達成するための人工的な栽培条件について調べています。たとえば、LED光源には太陽光にない特徴があり、それを利用することで、植物にとって理想的な光環境を人工的に作りだすことができると考えています。太陽光は様々な波長帯の光を含むのに対して、LED光源では、特定波長の単色光だけを選択的に照射することができます。この特徴を活かし、植物が利用可能な波長域の光だけを与え、そして、赤色LEDと青色LEDなどの各色の光強度を独立に変化させて、植物の成長を調べる実験を進めています。
 
 次世代燃料として期待されている藻類バイオ燃料の研究も新たな取り組みの一つです。ここでいう藻類とは、水中で生活する微細な植物プランクトンを指します。個々のプランクトンの大きさは1-50umと微小ですが、大量に増殖すると培養液が緑色になります。自然界には多種多様な藻類が生息していますが、この中から、私たちにとって有用なものだけを選び、競争相手や天敵を排除した人工的な培養液の中で育てる研究を進めています。特に、バイオディーゼルへの変換が容易なオイル成分を産生する微細藻類を中心に、最適な培養条件の探索などを研究しています。藻類から得られるオイルは「緑の原油」と呼ばれて、光合成によって固定された二酸化炭素を原料に作られたものであるため、カーボンニュートラルな次世代燃料となることが期待されているためです。
 
 当研究室がある環境工学科では、植物をテーマとした研究を進めるための基礎知識を養うために、私をはじめとする農学の専門知識を持ったスタッフが教育に携わっています。学部2-3回生対象の実験•演習では、植生調査•植物栽培実験•藻類培養などの課題を積極的に取り入れています。このように、当研究室では、工学と農学が融合した新しい境界領域で活躍できる専門的技術者の育成を目指しています。

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