国際交流INTERNATIONAL EXCHANGE
国際交流センターがウィドヤマンダラカトリック大学と国際PBLを実施
2023年11月1日
- 固形石鹸への加工実験の様子
- グループでのプレゼンテーション作成の様子
- 修了式後の全体集合写真
国際交流センターは、国立研究開発法人科学技術振興機構の2023 年度国際青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)の支援を受け、ウィドヤマンダラカトリック大学(インドネシア)から学生を受入れ、2023年10月17日〜10月23日まで大宮キャンパスで国際PBL(プロジェクトベースドラーニング)プログラムを実施しました。
プログラムテーマは「ものづくり技術体験から育む二国間交流の発展プログラム」。環境に配慮し持続可能な社会を構築することが重要課題である両国学生が、技術大国日本でのものづくり技術やSDGs達成に向けた仕組みを学び、体験しました。
プログラムは、全体オリエンテーションと両大学の大学紹介からスタートしました。次に、参加者の自己紹介を事前に作成していたスライドを用いて行いました。今回のプログラムのテーマとして、SDGs達成を目指して環境に配慮し、持続可能な社会を構築することを目標に設定し、ものづくり技術修得の一例として「界面活性剤と石鹸」にスポットを当てました。そのため有機化学や工業化学の基礎的知識を復習するためのレクチャーを行い、「油脂・界面化学」の基礎知識に関する講義を受講しました。
その後、大阪市から北九州市に移動して、シャボン玉石けん株式会社を訪問し、講師によるレクチャーを聴講し、セッケン製造工程を見学しました。シャボン玉石けん株式会社では、完全無添加で昔ながらの製法で製造されており、日本のものづくりに対するこだわりや人や環境に優しいものづくりを学ぶことができました。
実際の工場内で使用されているケン化釜を見学し、熟成中の石鹸素地を実際に目で見ることができました。じっくり時間をかけて熟成した石鹸素地を使って、固体石鹸に加工してパッケージに封入するまでの流れを拝見し、一連の石鹸製造方法を見学することができました。合成洗剤や添加物は一切入っていないため、石鹸成分が酸化しやすい事が問題としてあるとのことで、固形石鹸を袋詰めするときには窒素を封入するなどのこだわりと手間を惜しまないものづくりを拝見できました。
翌日は、北九州市エコタウンセンターを見学しました。『リサイクル』や『循環型社会』、『エネルギー』について学べる施設の見学を行い、大規模な「自然エネルギー施設」も見学しました。再生可能エネルギーや資源循環などは両国の学生諸君にとってとても興味深いキーワードとなっており、これまでと同様に熱心に見学していました。
大阪に戻ってからは、SDGs達成に向けたものづくり技術を学ぶ教育体験プログラムの一環として、固形石鹸づくりを実際に行いました。最初に、原料である油脂の産出国であるインドネシアと日本の輸出入について討論し、SDGsをキーワードに意見交換しました。
次に,長鎖脂肪酸組成の異なる数種類の油脂を使って界面活性剤を化学合成し、それを用いた固形石鹸への加工実験に挑戦しました。作製した固形石鹸の硬さや肌触り,泡立ちなどの各種物性評価を行い,組成の違う原料から異なる固形石鹸が得られることを知りました。さらに,合成界面活性剤やその他の添加物を使用することに対する環境への負荷や,廃棄物,排水などへの影響について,グループディスカッションを通じて共有することができました。
そして、グループで成果発表のプレゼンテーションを作成し、報告会を開催しました。報告会では、本プログラムで得た学びや、今後各学生が専門分野でどのように発展させるかについても発表されました。
最後に、さくらサイエンスプログラムのご支援に心から感謝申し上げます。このプログラムを通じて、ウィドヤマンダラカトリック大学と大阪工業大学の学術交流が今後も一層発展することは勿論、学生たちにとっては貴重な学びの機会となりました。